伝統と現代が交差する、ペロポネソスの田舎の家

自然素材と地元の工芸技術が生み出す、新たなるライフスタイル

伝統的な石造りの厩舎がインスピレーションとなった「ペロポネソス・ルーラル」。自然素材と地元の工芸技術を活用したこの住宅は、その地の歴史と現代のライフスタイルが融合した新たな住まいの形を提案しています。

ペロポネソス半島の田舎に建つこの住宅は、建築家イヴァナ・ルコヴィッチによる設計で、地元の伝統的な石造りの厩舎からインスピレーションを得ています。再利用された地元の石や新たに採掘された石、灰色の屋根瓦、ブラックアルミの窓枠、手作りの洗い木のシャッター、ブラックメタルの手すり、白いオイルで仕上げたOSB(合板)やセメントモルタルが、現代的な方法で使用されています。これらの素材は、過去を反映しながらも、その質感が豊かな空間を創出しています。

この住宅の特徴的なのは、その場所の地形を活かした設計です。道路側からは地元の風景に溶け込むような控えめな外観を持ちながら、庭側からは2階建ての建物として見えるようになっています。また、限られた予算の中で、持続可能な基準に従って建設されたこの住宅は、2020年のパンデミックの状況下でも、住人に安全と快適さを提供しています。

この住宅の製作には、環境と地元経済への配慮がなされています。建設現場から100マイル以内の範囲で職人や自然素材を選定することで、地元経済の活性化と環境負荷の軽減を実現しました。再利用された石は、近くの倉庫から供給され、新たに採掘された石は地元の採石場から供給されました。洗い木のシャッターはリサイクル材を使用して手作りされ、ブラックメタルのフレームは現地で作られました。

この住宅は、僅か300㎡の敷地に建てられていますが、庭でのアクティビティスペースを最大限に確保するために、家の配置には細心の注意が払われました。その結果、141㎡の住宅は敷地の上部、アクセス道路に隣接する場所に配置され、敷地の境界まで広がっています。道路側から見ると、石壁の高さはわずか3m、屋根の高さは最高点で2mですが、庭から見ると、建物の高さは6.3m、屋根の高さは1.5mとなります。

この住宅は、2021年にA'デザイン賞の建築、建物、構造デザイン部門で銀賞を受賞しました。この賞は、優れた専門性と革新性を示す、最高のクリエイティブなデザインに授与されます。これらのデザインは、強力な技術的特性と素晴らしい芸術的スキルを誇り、優れたレベルの卓越性を示し、ポジティブな感情、驚き、ワンダーを引き立てます。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Ivana Lukovic
画像クレジット: Image#1: Photographer Athina Souli, Garden view towards Olive Tree Atrium, 2020. Image#2: Photographer Athina Souli, Olive Tree Atrium atmosphere, 2020. Image#3: Photographer Athina Souli, Garden view towards Guest area Atrium, 2020. Image#4: Photographer Athina Souli, Humble entrance level elevation, 2020. Image#5: Photographer Athina Souli, View towards entrance level communal space from the observation platform, 2020. Video and montage: Athina Souli and Vangelis Michelidakis, 2021.
プロジェクトチームのメンバー: Architectural and Interior Design: Ivana Lukovic architect Collaborators: Alexandra Arampatzi architect Kostas Geranios architect Orestis Mpormpantonakis architect
プロジェクト名: Peloponnese Rural
プロジェクトのクライアント: Ivana Lukovic


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